今、持ち主がわからず適切に管理されていない、いわゆる「空き家」が全国的に社会問題と化しています。実は空き家の増加と再建築不可物件の増加には密接な関係があります。
今回は神奈川県の空き家問題と、空き家になりがちな再建築不可物件の活用方法についてご説明します。仮に所有している物件が空き家として扱われると行政処分などの対象にもなりかねません。特に再建築不可物件を所有されている方は早めにかつ適切に対処しましょう。
目次
神奈川県の空き家問題
東京に隣接していて多くの人が住み、人口は全国第2位の神奈川県。その分空き家の件数も多く、総務省がまとめた『住宅・土地統計調査』によると、神奈川県内には48万戸もの空き家が存在するとされていて、その数は全国で第3位です。
空き家率(すべての住宅のうち空き家が占める率)も年々上昇傾向にあり、昭和63年度は7.2%であったのが平成10年には10.2%、平成25年には11.2%に到達。神奈川県内の住宅の実に10戸に1戸は空き家ということになります。
空き家の戸数に関しても昭和63年と比較すると倍以上になっており、今後も空き家が増えていくことは間違いなさそうです。
出典:神奈川県公式ウェブサイト「空き家施策」
神奈川県の空き家対策~「わが家」の終活ノート~
神奈川県では空き家がこれ以上増加しないよう、「「わが家」の終活ノート」という対策を行っています。空き家が増加する原因の一つに所有者が亡くなってしまうことが挙げられます。住居が誰のものかを明確にするために、自分自身の氏名や住所などの情報、家族の氏名や連絡先などの情報、物件の情報、遺産の相続に関する意向などが書ける、いわゆる終活ノートの普及を推進しています。
また、「わが家」の終活ノートには手続きの方法や流れ、法務局などの関連機関や相談窓口の連絡先、空き家に関する法令など、相続に関する情報が記載されています。
こうしたノートを不動産の所有者が作成し、仮にその方が亡くなったとしても適切に相続ができるような体制にすることで、空き家の増加に歯止めがかかると期待されています。
空き家と再建築不可の関係
再建築不可の状態にある物件が空き家になってしまうケースも少なくありません。そもそも再建築不可物件は70年以上も前に建てられた建物である場合がほとんど。昔からそこに住まわれていた方が亡くなってしまい、相続人がいないか、いたとしても適切に管理されずに空き家になってしまうといったパターンがよくあるのです。
再建築不可物件は建て替えや増改築もできないため、適切な修繕がなされていないことも多く、空き家となってしまうと倒壊の危険性も高まります。
空き家が増える理由
特に再建築不可物件の場合は空き家になりやすいといえます。今は核家族化が進んでおり、特に都市部では親と子が別々に暮らしているケースも少なくありません。親が亡くなって子が実家を相続したとしても、すでに別の場所に居を構えている場合は実家に移り住むのも難しいです。まだ再建築可能な場合は建て替えやリフォームすれば住むことができますが、再建築不可ではそれも叶いません。
結局、物件は相続したものの、用途がなく空き家になってしまうケースが非常に多いのです。実際にこの記事をご覧になられている方の中にも、相続した再建築不可物件の活用方法に困られてる方がいらっしゃるかもしれません。
再建築不可物件を相続した・する予定の場合の対処方法については、こちらの記事(https://www.j-angel.co.jp/column/saikenfuka/3841/ )でも詳しくご説明しています。
売れづらいのは再建築不可が要因の場合も多い
さらに、再建築不可物件は売りづらいというのも、空き家が増加している原因と言えます。どうしても建て替えやリフォームができないという制約があり、自由度が低い再建築不可物件の市場価値は低くなりがちです。売り手が見つからないか、売れたとしてもよほど物件に特色があるか好立地でない限り、二束三文でしか売れません。
なかなか売り手が見つからず、管理もしきれなくなって放置されてしまった再建築不可物件が空き家になってしまうパターンも非常に多いです。
不要な再建築不可でやってはいけないこと
とはいえ、物件を適切に管理していかないと大変なことになりかねません。自治体に空き家として認定されてしまえば、行政処分を受ける可能性があります。物件が倒壊して人が亡くなったり怪我をしたりした事故が発生した場合は責任をとらなければなりません。また、空き家では不法侵入や放火などの犯罪が発生するおそれもあります。
一番良いのは相続した再建築不可物件をできる範囲で活用することですが、それもなかなかハードルが高いです。特に皆さん以下のようなことをしがちですが、実はこれが大きな落とし穴になってしまうかもしれません。
【パターン1】更地にする
建物が傷んでいるからといってとりあえず更地にしてしまう方も多いのですが、これは絶対おすすめできません。建物を解体してしまうと、そのままにしておくしかないからです。
更地は用途が限られてしまいます。駐車場や駐輪場にするという手もありますが、そもそも接道義務を満たしていない再建築不可物件にそれらを設けても使い勝手は良くありません。他には資材置き場にする、家庭菜園にするくらいです。
また、建物があれば軽減税率の対象となり固定資産税や都市計画税が安くなりますが、更地の場合は対象外となってしまうため税額も跳ね上がることになります。
老朽化していたとしても、まだ建物を残しておいたほうがマシです。
【パターン2】よくわからないまま賃貸で儲けようとする
再建築不可物件に限らず、持て余している建物を賃貸として貸し出す例は多々あります。しかしこれもおすすめできません。大家業は紛れもないビジネスです。入居者の募集のしかたや家賃の値段設定、物件の内外装、入居者へのサービスなど、それぞれにノウハウが必要になるため、初心者がいきなり参入をしても成功するのは容易ではありません。
加えて再建築不可物件は築年数が古く、建物の老朽化も進み、デザインや設備の面でも他の物件と見劣りしてしまうため、入居を募集しても希望者が現れないケースも多いです。その場合は家賃を値下げしなければなりませんが、修繕費や固定資産税の支払いで赤字になってしまう可能性もあります。
過去こんなトラブルを抱えたお客様も、、
再建築不可物件は活用するのも、売却するのも難しいのが事実です。しかし、全く不可能というわけではありません。売却をして物件を維持する悩みから開放された方、利益を得られた方もいらっしゃいます。むしろ、再建築不可物件の所有者は空き家になってしまわないよう、なんとしてでも活用なり売却なりの対応をしていく必要があります。
ここからは弊社にご相談いただいたことで再建築不可物件にまつわるトラブルを解消されたお客様の事例についてご紹介します。
神奈川県藤沢市に再建築不可を持つ方の売却実録!
稲葉さんは20年ほど前に神奈川県藤沢市の崖地に建っている見晴らしの良い物件を購入しました。しかし、それが実は再建築不可物件だったのです。売り主と不動産仲介業者、銀行の三者が結託して、再建築不可状態であったことを隠していたとのことでした。
その物件には10年ほど住んだものの、引っ越しを機に売りに出そうと不動産会社を20社以上回ったものの、どこも取り合ってくれず弊社に相談に来られました。
正直内装のコンディションも良くなく、市場価値はほぼ0。不動産会社に断られても無理がない状態でしたが、弊社がリフォームを行い、無事売却に成功しました。
神奈川県の再建築不可の不動産投資で失敗?!
皆木さんは不動産会社からの勧めで投資用物件を4,600万円で購入しました。しかし、実際に引き渡されたのは築年数が古い再建築不可物件で、内外装ともにボロボロ。当然のことながら借り手は現れず、ローンの支払いと住宅設備の修繕費の支払いがかさんで皆木さんは自己破産することに。任意売却の目処が立たず、疲弊しきった表情で弊社に相談に来られました。
当該の物件を買取らせていただき、さらに弊社スタッフ2名がサポートしながら個人再生に向けて前向きに動き出されています。
神奈川で再建築不可を売却したいなら
以上でご紹介したのは極端な例ですが、再建築不可物件を所有されている方は、大なり小なり活用や売却で頭を抱えられていることと思います。空き家になってしまう前に売却するのも一つの手段です。再建築不可物件に特化した不動産買取会社であれば、再建築不可状態であっても買取ってくれます。
訳あり物件買取センターなら神奈川県内の再建築不可物件を好条件で買取らせていただきます。物件の活用ノウハウが豊富で販売網も充実しているからこそ、納得の査定額をご提示可能です。ただ単に物件を買取らせていただくだけでなく、お客様に真摯に寄り添い、問題解決までの道のりをともに歩みます。
再建築不可物件に関するお悩みは、ぜひ私たちにご相談ください。
宮野 啓一
株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役
国内 | 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件 |
国内 | 訳あり物件売買取引件数:1150件 |
海外 | 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件 |
※宮野個人の実績件数
経歴
1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。
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