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市街化調整区域のため再建築不可と言われた!
市街化調整区域内の物件は原則として開発行為や建築行為が規制されるため再建築不可となってしまいます。再建築不可物件はどうしても資産価値が低いとみなされるため、売却するのも難しいです。
この記事では市街化調整区域内に物件を所有されている方、所有されている物件が再建築不可かもしれないと疑われている方、市街化調整区域内の物件を相続して手に入れられた方、知らず知らずのうちに掴まされてしまった方のために、売却や活用方法についてご紹介します。
市街化調整区域とは?
土地は都市計画法にもとづき「市街化区域」と「市街化調整区域」という2つの区域に分けられます。市街化区域とは開発や整備を行って都市化を進めるべき区域で、細かい規制はあるものの建物を建築することが認められています。
市街化調整区域とは無秩序な都市化を抑えるべき区域であり、区域内では開発行為や建築行為が規制されます。建物を新築あるいは増改築を行う場合、建築許可を申請しなければなりません。市街化調整区域内では建築許可が下りないため、再建築不可となってしまうのです。
特に郊外の土地や田畑、山林、河川敷などが近く、周囲に建物がないような土地は市街化調整区域に指定されている可能性があります。
そもそもなんで市街化調整区域に住宅があるの?
ここで、「なぜ建築が認められない市街化調整区域内に建物があるのか?」と疑問に思われるかもしれません。まず挙げられるのは建築基準法が施行される前から建物が存在するというパターンです。建築基準法は昭和25年に施行されました。それ以前に現在の市街化区域内に建てられた建物がルールの変更によって再建築不可になってしまったというケースが非常に多いのです。
もう一つよくあるのは違法建築であるパターンです。建築確認申請を出していないまま、あるいは建築許可が下りていないまま市街化調整区域内に建物を建ててしまったというケースもしばしばあります。他にも例外的に建築することが認められたというパターンが挙げられます。
いずれにせよ、市街化調整区域内にある再建築不可物件は手が加えにくいのが実情です。
市街化調整区域内の物件の特徴を知っておこう
市街化調整区域内にある物件はデメリットが際立つ印象がありますが、悪いことばかりではありません。市街化調整区域だからこその利点もあります。物件を活用する、あるいは売却する際には、メリットとデメリットをしっかりと押さえておくことが大切です。強みを活かすことで有効的に利用する手段が見いだせるかもしれません。
ここからは市街化調整区域内の物件の特徴について見ていきましょう。
市街化調整区域物件の利点
原則として再建築が認められない市街化調整区域内の物件ですが、メリットがまったくないわけではありません。「固定資産税が安い」「騒音・ご近所トラブルが少なく住みやすい」「自然豊かな傾向がある」という利点もあり、これを大きな魅力と捉える方もいらっしゃいます。物件を活用する際には、これらの強みに着目してみるといいかもしれません。それぞれ詳しく解説します。
固定資産税が安い
まず挙げられるのは固定資産税が安いという点です。固定資産税額はその土地や建物の評価額に応じて決定されます。市街化調整区域内の土地は再建築不可である、郊外にあるといった理由で、一般的な土地と比較して安い傾向があります。そのため、固定資産税の額も必然的に安くなるのです。また、市街化区域内にある一般的な物件であれば都市計画税も納めなければなりませんが、市街化調整区域内では原則として都市計画税を納める必要はありません。
税金が安くなれば、物件維持のコストを大幅に抑えることができます。また、物件の価格自体も安いため、買い手にとっては物件購入の費用を抑えることもできます。
騒音・ご近所トラブルが少なく住みやすい
市街化調整区域内では新たに開発や建築を行うことができないため、区域内の物件は周囲が田畑や山林に囲まれているケースが多いです。人がいないため、騒音やご近所トラブルに悩まされるリスクは低いです。静かに暮らしたい方、ご近所とのお付き合いに煩わしさを感じる方にはうってつけといえます。
また、市街化区域であれば隣に工場や店舗ができて騒音に悩まされる、モラルが低い人が引っ越してきてトラブルになるといったリスクもあります。市街化調整区域内であれば今後も周囲に新しく建物が建築される可能性は低いため、平穏な環境が長く続きます。
自然豊かな傾向がある
そもそも市街化調整区域は環境保全や田畑の保護を目的として指定されるため、郊外の自然豊かな地域が指定されるケースが多いです。そのため、山や川が身近にあり、常に自然を感じられる環境で暮らすことができます。
キャンプや登山、釣りなどアウトドアな趣味をお持ちの方、都会の喧騒から離れて暮らしたい方、豊かな自然環境のなかで子育てをしたい方、農業や林業などに転向される方にとっては良い条件です。また、物件を住居としてではなく別荘や趣味の拠点、物置として使うという方法もあります。
市街化調整区域の物件が抱える潜在的欠陥
市街化調整区域内にある物件には以上のようなさまざまなメリットがあります。しかし、それ以上にデメリットも多いことには留意しておく必要があるでしょう。市街化調整区域内の物件を所有し続ける、あるいは活用する際には、メリットとデメリットを天秤にかけることが大切です。また、表面的には問題がないように思えても、住み続けることでデメリットが表に出てくるケースもあり得ます。
ここからは市街化調整区域の物件が抱える潜在的な欠陥について見ていきましょう。
インフラ整備が手薄、もしくは整備自体がなく不便
市街化調整区域内は人が住むことを前提とされていないため、電気やガス、水道などのインフラ整備が他の地域と比較して手薄になっているか、そもそも整備すらされていない可能性もあります。仮にインフラが整っていない場合、ご自身で整備する必要があり、金銭的な負担も大きいです。
インフラが整っておらず、整備もしないということであれば、物置や作業場、休憩所など、用途は非常に限られてしまいます。それにしても電気や水道、トイレなどが使えないため、非常に不便です。
付近に商業施設や商店が充実していないため生活し辛い
市街化調整区域は郊外の、それも街として開発がほとんど進んでいないエリアとなります。人が住んでいない地域であるため、周辺にはスーパーやコンビニなどの商業施設もほとんどありません。毎日の買い物をするにしても、何kmも離れた地域に出かける必要があり、生活がし辛いです。
また、市街化調整区域の付近は鉄道やバスなどの交通機関もほとんど通っていない傾向がありますので、自家用車での移動が前提となります。固定資産税が低く、物件の調達や維持費も安く抑えられる可能性はありますが、その代わりに自動車を保有すれば、その維持費がかかってしまいます。
土地の価格が安く、売却できても薄利の可能性が高い
再建築ができないことに加えて上記のようにインフラが十分に整備されていない、周辺に商業施設がなく交通機関も脆弱であるといった理由で、どうしても市街化調整区域内の土地は資産価値が低いとみなされます。そのため、安値でしか売れない傾向が強いです。
物件の資産価値を高める方法としてはリフォームや修繕を行う、ハウスクリーニングをしてきれいにする、インフラを整備しておくなどが挙げられますが、それらの作業を行ったとしても、市街化調整区域内である場合は一般的な物件と同じようにというわけにはなかなかいきません。売却しても利益がほとんど残らないか、赤字になってしまうリスクすらあります。
住宅ローンの審査が降りず購入が厳しい
不動産を購入する場合は住宅ローンなどの融資を利用するケースが多いですが、市街化調整区域内の物件を購入する場合は審査に通らない可能性があります。
一般的に住宅ローンで資金を借り入れる際には、購入する不動産を担保に入れます。仮に返済ができなくなった場合は、家や土地を売却して返済にあてることができるのです。しかし、市街化調整区域内の物件は資産価値が低いため、金融機関から担保として認められないケースがあります。買い手が住宅ローンを利用できない点も、市街化調整区域内の物件の売却が難しい一因です。
自治体の助成金が降りない
たとえば住居を購入する、建物を増改築する、太陽光発電設備を導入する、耐震工事を行う、インフラを整備するなど、さまざまな場面で自治体の助成金を使うことができます。しかし、市街化調整区域内では助成金の申請が却下されてしまうケースも多いです。
市街化調整区域は「市街化を抑えるべき区域」「開発や建築を行うべきではない区域」という位置づけとなるため、自治体としては助成金を出して積極的に支援しようという姿勢には至りにくいのです。
市街化調整区域内の再建築不可物件を高額売却したい!
以上のように市街化調整区域内の物件にはメリット・デメリットの両方があります。得られるメリットがデメリットを上回るのであれば、市街化調整区域内の物件に住むなど活用を進めればいいわけなのですが、多くの方にとっては残念ながらメリットよりもデメリットのほうが大きくなってしまいます。
物件を活用する術がないのであれば、売却も検討する必要があるかもしれません。しかし、売るにしても市街化調整区域内で再建築不可状態となると、さまざまなハードルが立ちはだかります。
市街化調整区域の物件売却は厳しいってホント?
市街化調整区域内の物件の売却は難しいと言われています。実際に売りに出してみても全然売れなかったという経験をされた方もいらっしゃるかもしれません。市街化調整区域内の再建築不可物件は非常に売りにくいのが実情です。
やはり市場価値が低いというのがその大きな理由です。確かに固定資産税が安く、物件自体も安価に購入することはできます。しかし、それ以上に再建築できず自由度が低い、インフラが整備されていない、不便な立地である、助成金が利用できないなどのデメリットのほうが遥かに大きくなってしまうのです。
仲介での売却が厳しい理由
不動産を売買する際には不動産仲介会社を通して第三者に売却するという手段がよく用いられます。しかし、利益となる仲介料は売買金額によって変わってくるため、仲介会社としては資産価値が低い市街化調整区域内の再建築不可物件の売買を仲介したとしてもあまり旨味はありません。その上、売りに出しても上記のようなデメリットが多く、なかなか買い手が見つからないため、非常に売却がし辛いのです。
さらに、買いたいと思っても住宅ローンが利用できないという購入者側の事情も、売れにくい要因となっています。
「普通の」不動産買取業者が買取を渋る理由
不動産仲介会社を通じて一般消費者に向けて売りに出すという方法のほかに、不動産買取業者に買い取ってもらうという手段もあります。買い手は業者となるため、スムーズにかつ確実に物件を処分することが可能です。買取業者は物件を買い取った後に賃貸運営などの転用や転売を行って利益を得ます。
ただし、デメリットが多い市街化調整区域内の物件はプロの不動産買取業者でも売却や活用が難しいです。仮に物件を買い取ったとしても活用する術がない、売却できないということで、物件を持て余してしまう、利益が出せないというリスクが高くなります。そのため、普通の不動産買取業者は市街化調整区域内の物件を買い取ってくれないケースも少なくありません。
訳あり物件専門の買取業者なら売却の可能性がある!
市街化調整区域内の再建築不可物件を売却するのであれば、訳あり物件専門の買取業者に相談してみることをおすすめします。こうした業者は市街化調整区域内にある物件、再建築不可物件に関しても日常的に取り扱っているため、物件の活用方法を心得ています。充実した販路を持っているため、買い取ってくれる可能性も高くなります。
しかし、中には「市街化調整区域内にあるから」「再建築不可だから」という理由で足元を見て、不当に安い値段で買い叩こうとしてくる業者も存在します。できれば複数社比較検討をして、信頼がおける業者を選ぶことが大切です。
売却出来れば良いではなく、出来るだけ高く売りたい!
せっかく売却するのであれば、少しでも高く……というのが人情ですが、市街化調整区域内でかつ再建築不可の場合、高額売却は本当に難しいのが現実です。ただし、物件の価値を考慮した上で色をつけてくれるという意味合いで高値がつくことは稀にあり、そういった意味で期待を持つことができます。
そのためには物件の価値をしっかりと見極めてくれる訳あり物件専門の買取業者に依頼することが大切です。弊社もお客様の物件をしっかりと査定させていただき、なるべく高値で買い取らせていただきますので、お困りの方はぜひこちらの再建築不可物件の買取についてのページをご覧いただき、お問い合わせフォームよりご連絡ください。
市街化調整区域の物件を再建築可能にできる?
原則として市街化調整区域内では再建築が認められませんが、まったくできないかといえばそういうわけでもありません。例外的に建築許可が下りることもあります。市街化調整区域内で再建築ができるケースとしては「特定の建物を建築する場合」と「所有者の親族が居住する場合」という2つのパターンがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
特定の建物の場合再建築可能
再建築できる可能性がある建物・施設の例 | ||
---|---|---|
学校 | 図書館 | 公民館 |
老人ホーム | 変電所 | ホテル |
美容院・理容室 | お寺 | お墓 |
資材置き場 | 病院 | 駐車場 |
市街化調整区域内であっても、地域住民の生活に貢献できる建築物であれば建築許可が下りる場合もあります。具体的に学校や介護施設、病院、公民館といった公共性が高い施設、ホテルや美容院といった店舗、住民が利用できる資材置き場や駐車場などです。
たとえば個人でも経営できる店舗やクリニックを建てるか事業者に土地を使ってもらう、あるいは資材置き場や駐車場にするといった活用方法が挙げられます。ただし、建築を行う際には都道府県知事の許可が必要です。また、建築するためには莫大な費用がかかり、特に店舗やクリニックなどは需要がないと利益につながらないことには注意が必要です。
所有者の親族が居住する場合
土地の所有者やその親族が居住する場合は市街化調整区域内であっても再建築が認められます。ただし、親族は6親等以内でなければなりません。具体的にははとこ(所有者の父母のいとこの子)、いとこの孫、昆孫(所有者からみて6代目の孫)、所有者のきょうだいの玄孫(4代目の孫)などです。また、地域によっては3親等以内(所有者からみて曽祖父母やひ孫、おじ・おば、甥・姪など)に限られている場合もあります。
そもそも、本人あるいは親族が物件に居住する意向がない限り、この手段で再建築を行うのは不可能です。
市街地調整区域内の物件でお困りの方へ
市街化調整区域内の再建築不可物件でお困りでしたら、訳あり物件買取センターにご相談ください。弊社は創業以来30年以上の実績があり、数多くの市街化調整区域内の物件や再建築不可物件を取り扱ってきました。物件の活用ノウハウや充実した販路があるため、他の不動産買取業者よりも高値で買い取らせていただく自信がございます。
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どうしたら良いか混乱しているという方へ
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良いものは良い、高くできるものは高くする。逆にダメなものはダメ。はっきり正直に言わせていただきます。
「どうしたらいいのかわからない」と悩まれる原因には、情報不足と判断基準が明確になっていないのが原因です。ご相談者様の立場になってお話をお伺いしますので、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
とにかく出来るだけ高く売りたいという方へ
「少しでも高く売りたい」「どうせなら売って利益にしたい」という方も、ぜひお任せください。可能な限り高額査定させていただきます。ただし、先ほどもご説明しましたが、市街化調整区域内で再建築不可となると、どうしても一般的な物件と比較して値段は下がってしまいます。土地や物件の価値に対する高額査定であることをご理解いただければ幸いです。しかし、その中でも弊社は物件の価値を正しく見極め、メリットを見出して査定させていただきます。
高額査定をご希望の方も、お問い合わせフォームよりぜひご相談ください。
宮野 啓一
株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役
国内 | 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件 |
国内 | 訳あり物件売買取引件数:1150件 |
海外 | 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件 |
※宮野個人の実績件数
経歴
1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。
再建築不可物件に関する
疑問はここで解決!
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