土地の売却、とりわけ相続した物件を売る場合は現存する図面などの書類だけでなく土地の面積を測定し、「確定測量図」を作成した上で査定を受けられることを強くおすすめします。書類に記載されている面積と実際の面積に乖離が生じているために安く査定され、損をするケースがあるからです。「そんないい加減な話あるわけがない」と思われるかもしれませんが、実際にそれで売り主の方が大損をした事例もあります。
今回は実際に弊社であった実例をもとに、確定測量図の重要性を解説します。土地を売却される方はぜひご一読ください。
目次
まさか?!約7億円の大損!嘘のようなホントの話
Aさんは都内某所に不動産を所有していました。一等地でしたが建物が老朽化していて使いみちもなかったため、更地にして売却することにされたのです。複数の不動産会社に査定を依頼され、弊社の担当者も土地を拝見しました。結局早い段階で先に話をしていた某社と売買契約を締結されたため、弊社が介入することはなかったのですが、売却後にAさんの話を聞くと違和感があったのです。
某社での売却金額は3億円ほど。実際に土地を見せていただいたのですが、土地の広さの割に提示金額が少ないと感じました。もう一度書類を確認したところ、なんと実際の広さの1/3程度の坪数になっていたのです。あくまで概算ですが、本来ならば10億円ほどで売れるような物件でした。
Aさんが持っていた原本を見せていただいたので、他者が改ざんする余地がないのは明白なのですが、そもそもかなり古い書類で正確性が低いと言わざるを得ないものでした。
弊社であれば事実を売り主に正直に話して適正な査定額で買取ることにしていますが、その不動産会社ではそのプロセスが抜けていたようです。結局Aさんは10億円で売れる土地を3億円で手放し、7億円の損をしてしまったのです。
相続物件で測量をしなかったことが原因
このような事例が起こった原因は売り主であるAさんが相続時に土地を測量せず、正確に面積を把握していなかったことが挙げられます。書類上の面積と実際の面積の差は3倍以上なので、仮に測量をしなかったとしても、現地でよく物件を見ていればわかるはずです。指摘をしなかった不動産会社も悪いですが、相続で現地を確認せず、手元にある書類の面積を信じ込んでしまったAさんにも落ち度があると言わざるを得ません。
「こんなことあるわけがない」と思われるかもしれませんが、昔から所有していた土地、相続した物件を売却する場合、Aさんのようなケースが発生するのは十分あり得ることです。
仮にしっかり確定測量図を作成し、正確な土地の広さを把握していれば、7億円の大損をすることはなかったでしょう。
確定測量図とは?分かり易く解説
土地の面積を正確に把握するためには測量を行い、測量図を作成する必要があります。確定測量図は隣人や行政が立ち会い、境界をはっきりさせた上ではじめて成立する書類なので、もっとも正確な測量図と言えます。
ちなみに測量図には他にも「現況測量図」と「地積測量図」というものがあります。いずれも境界杭やブロック塀などをもとに隣地との境界を推測しながら測量をし、図面を作成します。ただし、正確な境界線について隣人や行政との合意が得られていないため、面積を把握するという点では確定測量図と比較するとどうしても正確性は低いと言わざるを得ません。
測量をすることでプラスになるケース
Aさんのような事例、つまり古い書類に記載された面積よりも実際の物件の面積のほうが広いというケースであれば確定測量図を作成することで査定額が大幅に増加する可能性があります。特に一等地やもともと住宅が建っていた土地の場合は面積に比例して買取価格も高くなるため、費用や手間をかけて測量を行い、確定測量図を作成する価値はあるでしょう。
ただ、闇雲に確定測量図を作成すればよいというわけではありません。まずは書類にしっかりと目を通し、現地に足を運んで物件を確認し、「どう見ても書類に記載されている面積よりも広い」というように書類と実際の広さに乖離があると思われたら測量を行いましょう。
測量をすることでマイナスになるケース
仮に土地が広くてもいわゆる「死に地」の場合はあまり意味がありません。特に崖地物件の場合はこうしたケースが多いです。単純に広さがあっても、斜面など使えないスペースは査定にプラスされません。いくら実際の面積が広かったとしても、それがすべて崖の分だったらほとんど査定額は変わらないでしょう。
確定測量図を作成するためには数十万円というコストあるいは手間(詳しくは後述します)がかかります。その分だけマイナスになってしまうことも大いに有り得るのです。
訳あり物件でも確定測量図は作ったほうが良い?
訳あり物件であっても基本的に土地の面積に応じて査定額が変わってくるので、確定測量図を作成されることをおすすめします。「訳あり物件だから」「どうせ安値でしか売れないから」と測量もせず、安い査定額で納得するのはもったいないです。特に相続された土地、昔から所有されている土地は測量をしてみる価値が大いにあります。Aさんの事例のように、書類に記載されていた面積と実際の面積に数倍の開きがある場合、査定額も大幅に跳ね上がる可能性があるため、まずは測量を行い正確な面積を把握しましょう。
ただし、前述のとおり崖地などの用途に制限がある土地の場合は思った査定額にならない場合もありますので、注意が必要です。
確定測量図作成の盲点!大金が飛ぶ?
確定測量図を作成する場合、ただ土地を測ってOKというものではないことに注意が必要です。前述のとおり、確定測量図は隣地の所有者や行政と境界について合意が得られてはじめて成立するものです。測量の際には隣人や行政担当者の立ち会いも必要となります。
特に今まで確定測量図を作成していない場合、隣人との交渉が必要となり、これが結構難航するのです。隣人としては「ここからここまでがうちの土地だ」という意識があります。測量を行って実際の境界線が明らかになって自分の土地が書面上の面積よりも広いことがわかったとしましょう。隣人からすれば自分の土地が狭くなってしまうことになるので、「はい、いいですよ」とはならないことがほとんどです。
その場合、お金で解決することになるのですが、足元を見て値段を吊り上げられるケースも少なくありません。そもそも、隣人と疎遠になっている場合は交渉を断られることすらあります。特に相続物件の場合は前所有者である故人(相続人)と隣人の人間関係も絡んでくるので、話がこじれるケースも少なくありません。
確かに確定測量図を作成し、現存の書類よりも面積が広いことがわかった場合は査定額がアップする可能性があります。一方で、手続きや交渉で心労がかかるのも実情です。
確定測量図も含めて頼みたい!に応えます!
土地の売却、特に相続物件に関しては確定測量図を作成されることをおすすめします。訳あり物件に関しても例外ではありません。仮にAさんが確定測量図を作成していたとしたら、7億円を損することはなかったでしょう。一方で、測量には数十万円もの費用がかかり、隣人との交渉が難航するリスクもともないます。
そこで、訳あり物件買取センターにお任せください。弊社に査定・売却をご依頼いただいた場合、確定測量図の作成を無料で行います。隣人との交渉に関してもサポート。大切な物件を適正価格で買取らせていただきます。訳あり物件に特化した不動産買取会社だから、他社では断られる・安値でしか査定してもらえない物件であっても、好条件での買取が可能。しかも最短即日で現金をお支払いします。
相続物件や訳あり物件の処分でお困りの方、実際に物件を確認したけど書類よりも明らかに土地が広いという方、そもそも古くからの土地で面積がわからないという方は、ぜひ私たちにご相談ください。
宮野 啓一
株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役
国内 | 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件 |
国内 | 訳あり物件売買取引件数:1150件 |
海外 | 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件 |
※宮野個人の実績件数
経歴
1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。