新築や増築、改築が認められていない再建築不可物件。
活用する術がなくて持て余している方もいらっしゃるかと思います。
再建築不可物件は売るとしたらいくらくらいになるのでしょうか?
そもそも売却することができるのでしょうか?
今回は再建築不可物件の買取価格の相場や、価格を左右する要素についてご説明します。
再建築不可物件の活用に困られている方、売却を検討されている方必見です。
目次
そもそも再建築不可物件って売却できる?
結論から言うと再建築不可物件は売れないわけではありません。
しかし、一般的な物件と比較すると資産価値が低いとみなされ、かなりハードルが高くなるのも事実です。
多くの不動産会社では再建築不可物件だとわかった時点で買取を断られてしまうでしょう。
また、売れたとしても一般的な物件よりも大幅に買取価格が下がってしまったり、仲介であればなかなか買い手が見つからなかったりします。
再建築不可物件は売れないことはありませんが、かなり難航するのは覚悟しておく必要があります。
再建築不可物件を売却するためには、リフォームをする、再建築可能な状態する、もしくは再建築不可物件を専門的に取り扱っている不動産買取会社に相談するのが得策です。
再建築不可物件の買取相場はどのくらい?
再建築不可物件の買取価格の相場は周辺の一般的な物件価格の半額、良くて7割程度です。
もちろん、物件の立地や状態などにもよって変わるので、一概には言えません。
再建築不可というデメリットを上回る魅力があって7割以上の価格で売れることもあれば、逆に再建築不可以外にも問題があって半分以下になってしまうケースもあります。
いずれにしても、まず一般的な物件と同じように売るのは難しいと考えたほうがいいでしょう。
前述のとおり、買取すらも断れてしまうケースも少なくありません。
また、当初はそれなりの査定額が提示されていたとしても、後から「不具合が出たから」「買い手が見つからないから(仲介の場合)」といって値下げ交渉をされる場合もあります。
なぜ再建築不可物件の買取相場は低いのか
一般的な物件の半額程度でしか売れない再建築不可物件は、なぜ価格が下がってしまうのでしょうか。
それにはさまざまな理由があります。
ここからは再建築不可物件の買取価格相場が低い理由を見ていきましょう。
リフォーム不可
そもそも物件が再建築不可となってしまう理由は、建築基準法で定められた基準を満たしていないがために、建築許可が下りないからです。
建て替えはもちろん、増築や改築も認められていません。
一度解体してしまったら更地にするしかないのです。
さらには大掛かりなリフォームもできません。
たとえば建物の構造体(柱や梁、壁、階段など)を1/2以上取り替えるといった工事は建築確認申請が必要となるため、再建築不可物件ではできず、屋根の高さを変えるといった工事も不可能です。
再建築不可物件では壁紙や床材などの張替えや設備の入れ替えなど、部分的なリフォームに限られます。
自由度の低さが再建築不可物件の最大の弱点と言えます。
築年数が古い
再建築不可物件のほとんどは築70年以上の建物です。
その理由は1950年に建築基準法で接道義務が定められたことに起因します。
それ以前は敷地が道路に接している必要はなく、自由に建物が建築できました。
しかし、1950年に接道義務が定められたことによって、道路に接していない敷地に建っている建物は再建築不可物件となってしまったのです。
再建築ができるか否かという以前に、築70年以上の建物はほぼ資産価値が認められないのが実情です。
耐震性能が低い、劣化している箇所が多い、見た目が悪いなど、さまざまな面で築古物件は避けられてしまいます。
再建築不可物件を買ってしまったら、建て替えることもできず、古い物件に住み続けなければならないため、需要が少なく買取価格がどうしても下がってしまうのです。
周辺環境の悪さ
再建築不可物件の周辺はどうしても環境が良くない傾向があります。
道路と接していないので敷地に人や車が自由に出入りしにくいです。
道路に出るために他人の土地を通らせてもらわなければならないケースもあります。
また、古くからの住宅密集地で騒音やご近所付き合いなどにも配慮しなければなりません。
隣家との距離が近いため、日当たりや風通しも良くない可能性があります。
生活しづらい周辺環境も、再建築不可物件が避けられる理由です。
他にも駅や商業施設から遠い、周辺に企業や学校がないという理由で、買取価格が下がってしまいます。
購入者のローン審査が通りにくい
一般的に不動産を購入する際には住宅ローンを利用します。
普通の新築住宅や中古物件の場合は、土地や建物を担保に金融機関からお金を借り入れることができます。
仮に住宅ローンの返済ができなくなった場合は、自宅や土地を売って弁済することが可能です。
しかし、再建築不可物件は資産価値が低いとみなされ、担保として認められないケースがあります。
その場合、購入者は現金一括で購入するか、金利が高いノンバンク系のローンを利用して資金調達するというような選択肢をとらなければなりません。
購入者がローン審査に通らないという理由で、再建築不可物件が売却できないケースも非常に多いです。
再建築不可物件の査定基準
- 1.物件そのものの魅力
- 2.物件の立地
- 3.リフォーム費用
- 4.上物(建物)の有無
- 5.買取業者の選択
再建築不可物件であっても、その物件の立地や状態によって、買取価格は大きく変わります。
前述のとおり、再建築不可物件の買取相場は周辺の一般的な物件の半分~7割程度ですが、物件によってはそれ以上の価格で売れることもあれば、逆に全く売れないこともあり得ます。
再建築不可物件の査定額は、主に「物件そのものの魅力」「物件の立地」「リフォーム費用」「上物(建物)の有無」「買取業者の選択」によって異なります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.物件そのものの魅力
物理的瑕疵の有無
「瑕疵」とは不具合や欠陥のことです。
物理的瑕疵とは建物の損傷や劣化などを指します。
特に築年数が古い木造住宅はシロアリの侵食や雨漏り、建物の傾きなど、さまざまな不具合が生じているおそれがあります。
このような物理的瑕疵がある物件は大幅に買取価格が低くなってしまうのです。
また、売却時に物理的瑕疵が見当たらなかった場合や、物理的瑕疵を隠して売った場合も要注意です。
仮に引き渡し後に買い主が物理的瑕疵を見つけた場合、売り主は契約不適合責任を負わなければならず、買い主から損害賠償請求や減額請求、契約解除などがなされるリスクがあります。
景色・景観
物件の見た目も重要です。
物理的瑕疵がなく、快適に住める状態であっても、見た目が古臭いと買い手が見つからないかもしれません。
逆に築年数が古くても、見た目がきれいであれば、買取価格がアップする可能性もあります。
物件から見える景色も重要です。平凡な眺望であれば、売却価格もそれほど上がりません。
たとえば高台にある景色がいい物件や海が見える物件は別荘や保養所にするなどリゾート需要が高く、再建築不可物件であっても高値で売れる可能性があります。
2.物件の立地
物件の立地も非常に重要です。
駅の近くにあって通学や通勤に便利、スーパーやコンビニなどの商業施設が近くにあって生活が便利、企業や学校が近くにあるといった場合は、再建築不可物件であっても好条件で売却できる可能性があります。
むしろ、周辺の物件よりも安く買えることから、スムーズに売れる可能性すらあるほどです。
一方で、駅や商業施設、企業や学校が近くにないとなると、なかなか売れないか、安値しかつかないかもしれません。
3.リフォーム費用
どの程度のリフォームが必要になるのかといったことも、売却価格を大きく左右します。
リフォームを前提として再建築不可物件を購入する人も少なくありません。
リフォーム費用はその物件の劣化度合いや設備の状況などによって大きく異なります。
たとえば先ほどご説明した物理的瑕疵が発生している場合や損傷箇所が多い場合、設備や内装が傷んでいる場合などは、リフォーム費用が高額になる可能性があるため避けられがちです。
また、再建築不可物件はいわゆる「旧耐震基準」で建てられていることが多く、耐震工事を行わなければいけないケースも少なくありません。
4.上物の有無
上物(建物)があるかどうかも重要です。まだ上物があれば、リフォームや修繕することで住める状態、あるいは活用できる状態にすることができます。
しかし、更地の場合はそういうわけにはいきません。
建物を新築することが認められないため、活用する手段が限られています。
駐車場やコインパーキングにする、資材置き場にする、菜園を作るといった方法くらいしかありません。
そのため、更地は上物がある状態よりもさらに買取価格が下がってしまう可能性があります。
建物を解体するためには高額な解体費用がかかります。
加えて、建物があれば固定資産税の優遇が適用されますが、更地になると適用外になってしまうため、税額も上がる可能性があります。
築年数が古くても、わざわざ解体するよりはそのまま売ってしまったほうがいいかもしれません。
5.買取業者の選択
「どこで売るか?」も非常に重要です。
同じ物件でも不動産会社や買取業者によって大きく査定額が異なります。
再建築不可物件の扱いに慣れていない会社だと、話すらもろくに聞かずに断られたり、「再建築不可物件だから」という理由だけで安値を提示されたりするかもしれません。
再建築不可物件の取り扱いに慣れている会社、再建築不可物件の活用ノウハウがある会社であれば、物件の立地や状態、環境などを見極め、活用方法や販路をしっかりと考えて、適正な査定額を提示してくれる可能性があります。
物件そのものはもちろん、不動産会社や買取業者もしっかりと考えて話を持ち込むようにしましょう。
「とはいえできるだけ高く売りたい」方へ
これまでご紹介したとおり、再建築不可物件の評価は、物件の魅力やリフォーム費用の大小に大きく左右されます。
また、更地にしてしまうと再建築ができない、優遇税制が受けられないなど、さまざまなデメリットが発生して最悪の状況になるため、なるべく建物を残されるのがおすすめです。
しかし、建物があったらあったで、どんどん老朽化し、ただでさえ資産価値が低いのにますます売却価格が下がってしまうことにもなりかねません。
高く売れるようにリフォームするにしても、売却額が大きく上がるわけではないので、赤字になるリスクは十分にあります。
まさに、八方塞がりの状況です。
再建築不可物件を持て余している、どうしようか悩んでいる、早く処分したいという方は、訳あり物件買取センターにご相談ください。
弊社は再建築不可物件も含めて、訳あり物件の取引に特化してきました。
物件活用のノウハウや販売網が豊富なため、確実に買取が可能。
物件の魅力をしっかりと査定するので、ご満足いただける査定額をご提示できます。
最短即日お支払い可能です。
リフォームも不要で、そのまま物件をお譲りいただけます。
再建築不可物件の活用にお困りの方、どこに行っても売れなかったという方は、ぜひ私たちにご連絡ください。
宮野 啓一
株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役
国内 | 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件 |
国内 | 訳あり物件売買取引件数:1150件 |
海外 | 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件 |
※宮野個人の実績件数
経歴
1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。
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