日本の首都である東京。多くの人々が住居を構えて暮らしていますが、その中には再建築不可物件で困られている方も少なくありません。所有している不動産が再建築不可となると新築や増改築ができないため、居住や活用、売却が難しくなってしまいます。
今回は東京の再建築不可物件の実情と対策方法についてご紹介します。都内でお困りの方必見です。
目次
東京の再建築不可物件
建築をする際には建築許可申請を行わなければなりません。再建築不可物件は建築基準法の要件を満たしていないがために建築許可が下りない物件のことを指します。
特に東京では「接道義務違反」で再建築不可になってしまうケースが多いです。建築基準法では都市計画区域内では4m以上の道路に敷地が2m以上接していないと建物が建てられないと決まっています。昔から人口が多く、建物が密集している都内では、敷地が道路に接していないか接していても基準を満たしていない再建築不可物件が多いのです。
東京23区に約24万戸?!
東京23区内にはおよそ490万戸もの住居があるとされています。そのうち、敷地が道路に接していない建物は6万戸ほどあるとされています。東京23区内はすべて都市計画区域に指定されているので、この6万戸は再建築不可物件に該当することになってしまいます。
さらに、道路に接していても建築基準法の要件を満たしていない建物は18万戸ほどあるとされています。一部例外はあると思われるものの、その多くは再建築不可物件に該当すると考えられます。
東京23区内には実に24万戸、およそ17戸に1戸の割合で再建築不可物件が存在するということになるのです。
都内のどこに多いの?
特に都内では新宿区、品川区、練馬区、江戸川区、板橋区などのエリアに多い傾向があります。これらの地域は人口が特に多く住宅が密集しているエリアです。交通アクセスが良く、非常に人気が高く、特に昭和初期ごろから多くの人が転入してきました。
一方で、当時は接道義務がなかったため、道路に接していなかったとしても建物を建てることができたのです。しかし、昭和54年に建築基準法が改正されて接道義務が新設されました。そのため、これまでに建てられた道路に接していない建物が違法状態、つまり再建築不可の状態になってしまったのです。
再建築不可を再建築可能にするには
再建築不可物件を再建築可能にする方法はないわけではありません。接道義務を満たすことさえできれば、建築許可が下ります。たとえば接している道路の幅が狭い場合は、自分の敷地を後退させる「セットバック」を行い、その分を行政に明け渡して道路という扱いにしてもらうことで、再建築が認められるようになります。
道路と接している間口が狭い場合は、隣地を買収したり借りたりして合筆して間口を拡げることで、再建築が可能です。自分の敷地が道路に接しておらず、隣の土地が接している場合は、同様に隣地と合筆することで再建築ができるようになります。
このように、再建築不可物件であっても、再建築可能にする方法はあるので、新築や増改築を行う際にはこれらの手段で接道義務を満たします。
東京都での建て替えの際に受け取れる補助金
各自治体では地震対策や住宅の省エネ化を促進するために、さまざまな助成制度を用意しており、再建築不可物件を含め、既存の建物を改修する場合は助成金を受けることが可能です。以下に地域別に助成制度をわかりやすく一覧表にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。
これらの地域以外でも各自治体で独自の助成制度がありますので、建て替えや増改築の際にはお住まいの自治体のホームページなどで確認してみましょう。
東京都区市町村 住宅助成(融資)制度の概要 | |||
---|---|---|---|
地区 | 制度名 | 助成方法 | 限度額 |
港区 | 民間建築物耐震化促進事業 | 助成金 | 補強設計に要した費用の2/3 耐震改修工事に要した費用の1/2 etc. |
がけ・擁壁改修工事等支援事業 | 助成金 | 助成対象工事に要する費用の1/2 | |
新宿区 | 新宿区建築物等耐震化支援事業 | 助成金 | 補強設計費用の一部 木造 助成対象事業費×10/10以内の額(上限17万円) 非木造 助成対象事業費×2/3以内の額(上限200万円) 耐震改修工事費用の一部 木造 助成対象事業費×3/10~3/4以内の額(上限75万円~300万円) 非木造 助成対象事業費×2/3以内の額(上限4,000万円~1億円) |
新宿区建築物等耐震化支援事業 (ブロック塀等除去助成制度) |
助成金 | 助成対象事業費×10/10以内の額(上限40万円 ) | |
新宿区擁壁及びがけ回収等支援事業 | 助成金 | 擁壁の新設または造り替えに要する工事費の2/3または1/3以内とし、施工後の擁壁高さに応じて下記の金額を上限とする。 | |
品川区 | 住宅修築資金融資あっせん | 利子補給 | 一般増改築工事・災害復旧工事・耐震補強工事・石綿除去工事 各1,000万円 |
住宅改善工事助成金 | 助成金 | 対象工事費(エコ住宅改修・バリアフリー住宅改修・その他の工事)の10%(上限20万円) | |
世田谷区 | 擁壁改修等補助金 | 助成金 | 補助対象経費の1/3※上限300万円 |
住宅・建築物土砂災害対策改修補助金 | 助成金 | 改修工事費の23%。※上限77万2千円 | |
渋谷区 | 渋谷区木造住宅耐震改修助成事業 | 助成金 | 補強設計、改修工事合わせて最大100万円(申請者が65歳以上の場合は最大150万円) |
引用:https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/juutaku_seisaku/data/jyosei_ichiran.pdf?202207=
再建築不可を再建築可能にするのは簡単ではない!
自治体の助成制度が受けられるとはいえ、再建築不可物件を再建築可能な状態にするのは容易ではありません。たとえば隣地を買収したり借りたりするためには、交渉する手間や買収費用・賃料などで多額の出費が必要です。また、隣地も道路に接していない場合は、この方法を選択することができません。
セットバックするにしても手続きが必要で、さらに自分の敷地が狭くなってしまうというデメリットもあります。そもそも接している道路が私道である場合はセットバックという方法がとれません。
再建築可能にする方法はいくつもありますが、実際にはなかなかハードルが高いのです。詳しくはこちらのページ(https://www.j-angel.co.jp/column/saikenfuka/3706/)をご覧ください。
東京の再建築不可買取実績
再建築不可物件の扱いに困られているのであれば、売却してしまうのも一つの手段です。一般的に再建築不可物件は売却が難しいと言われていますが、専門の買取業者に依頼すれば高値で買い取ってくれる可能性もあります。以下の記事では実際に弊社に買取を依頼されたお客様の声を掲載しています。
実際のお客様にインタビューしてみました→https://www.j-angel.co.jp/voice/361/
その他の実績
エリア | 最寄り駅 |
---|---|
新宿区舟町 | 曙橋駅 |
坪数 | 種別 |
80坪 | 中古戸建 |
エリア | 最寄り駅 |
---|---|
渋谷区鴬谷町 | 神泉駅 |
坪数 | 種別 |
45坪 | 中古戸建 |
エリア | 最寄り駅 |
---|---|
世田谷区三宿 | 池尻大橋駅 |
坪数 | 種別 |
30坪 | 中古戸建 |
東京で再建築不可を売却したいなら
東京で再建築不可物件の売却を検討されているのであれば、訳あり物件買取センターにご相談ください。再建築不可物件に特化している買取業者なので、豊富な物件の活用ノウハウと充実した販売網があり、好条件での買取が可能です。再建築可能な状態にする手間や費用も不要なので、そのままお譲りください。
上記のように買取実績も豊富なので、まずはお気軽にご連絡いただければ幸いです。
宮野 啓一
株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役
国内 | 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件 |
国内 | 訳あり物件売買取引件数:1150件 |
海外 | 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件 |
※宮野個人の実績件数
経歴
1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。
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