再建築不可物件は火災保険や地震保険に加入すべき?プロが徹底解説

再建築不可物件は火災保険や地震保険に加入すべき?プロが徹底解説
2023年05月26日(金)

【結論】再建築不可物件こそ火災保険は必須

火災保険うちは再建築不可だから火災保険に入る必要はない」「住んでいないのに保険料を払うのはもったいない」……そう考えられている再建築不可物件の所有者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、再建築不可物件であっても火災保険や地震保険に加入すべきです。むしろ必ず入っておきましょう。仮に火災保険に加入していない状態で火災や地震が発生した場合、深刻な事態に陥るリスクも高いです。

今回は再建築不可物件に火災保険や地震保険をかけておくべき理由について解説します。「保険料や物件維持にかかる費用がもったいない」と思われている方向けの秘策もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

そもそも再建築不可物件でも火災保険は入れるの?

再度新築や増改築することが認められていない再建築不可物件ですが、火災保険や地震保険には問題なく加入することができます。加入の可否や保険料額は築年数や建物の構造、状態などによって決まります。再建築不可物件と一般的な物件との違いは法律で再建築が認められていないだけで、再建築不可物件だからといって保険の加入を断られるという心配はありませんのでご安心ください。再建築不可という理由で保険料が高くなるということもありません。

ただし、再建築不可であるゆえ保険金が下りても建物を建て替えたり建築許可が必要なレベルの大幅な修繕を行ったりすることはできません。火災や災害で建物が損傷してしまった場合は、解体するか建築許可が不要な範囲で修繕をするしか手立てがないのが実情です。

火災保険でカバーできるのはどこまで?

消火器その名のとおり、火災保険は火災が発生した際に生じた損害を補償する保険です。過失や漏電、放火などによる火災はもちろん、落雷による火災や建物の損傷、ガスなどの爆発や破裂に発生した損害もカバーできます。火災によって建物の修理が必要になってしまったケース、家財道具が焼失してしまったケース、あるいは第三者に損害を与えて賠償が必要になってしまったケースなどで補償が受けられます

  • 火災
  • 落雷
  • 爆発・破裂

また、火災保険で補償されるのは火災だけではありません。多くのプランでは台風や大雨、土砂崩れなどの天災で発生した損害も補償されます。床上浸水してしまって家財道具が駄目になってしまったケースや、大雨によって雨漏りが発生して修理が必要になってしまったケースなどでも補償を受けることが可能です

  • 台風
  • 大雨・洪水
  • 土砂崩れ

特に風水害による損害でも火災保険が使えることはあまり知られていません。火災保険では火災による損害以外もカバーできることを念頭に置いておきましょう。

こんなケースでも保証対象!

さらに、火災保険は火災や風水害以外の幅広い損害にも対応可能です。たとえば大雪や雹(ひょう)によって建物が損傷するなどして損害が発生したケースが挙げられます。

  • 雹災
  • 雪災

事故による損害も対象です。自動車や自転車が家屋に衝突する交通事故、風による飛来物、航空機の部品やドローンの墜落などの落下事故によって発生した損害もカバーできます

  • 自転車等の衝突
  • 落下・飛来物

さらには事件にも対応可能です。盗難や空き巣、騒擾(デモ活動)によって建物が壊されたり財産が奪われたりした場合も補償の対象となります。その他、建物の破損や汚損に幅広く対応しています。

  • 盗難・空き巣
  • 騒擾(デモ活動)
  • 破損・汚損

ただし、補償対象は保険会社やプランによって異なりますので、加入前にしっかりと確認しておきましょう。

火災保険に入るべき理由

壊れた家以上のように火災保険では火災を含めさまざまな損害にできることはおわかりいただけたかと思います。しかし、なぜ保険料を払ってまで再建築不可物件に火災保険を掛けなければいけないのでしょうか?その理由として「自分への被害を補償する」と「近隣への被害を補償する」という2つの観点で考えていきましょう。

自分への被害編:再建築不可物件こそ被害を受けやすい

再建築不可物件の多くは接道義務を満たしていないという理由で再建築不可となっています。まったく道路に接していないか、接していても道路幅や間口が狭いケースがほとんどです。そのため、火災や災害が発生しても消防車などの緊急車両が近づきにくいため、消火や救助に時間がかかって被害が拡大しやすいのです

また、再建築不可物件は近隣に建物が密集している住宅街にあることが多いです。土地に限りがあるため、近隣の建物との距離も近い傾向にあります。近隣で火災が発生した場合、延焼によって損害を受けるリスクも一般的な物件より高いのです

加えて、築年数が古い物件が多い傾向があるので、防火対策が十分になされておらず、空き家になっていれば放火のターゲットになりやすくなります。再建築不可物件は火災が発生するリスク自体が高いといえます

近隣への被害編:損害賠償も視野にいれておく

「住んでいないからわざわざ保険に加入しなくてもいい」「どうせ解体するしかないのだから火災保険は意味がない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、それでも火災保険は加入すべきです。

仮に火災が延焼したことで近隣住民に損害を与えてしまったとなると、賠償しなければなりません。その額は膨大なものになります。特に隣家を全焼させてしまったり、複数の建物に燃え広がってしまったりした場合、とても自己負担では保証しきれない金額になってしまうことも考えられます

特に前述のとおり、再建築不可物件では火災が発生するリスク、そして被害が甚大になるリスクが大きいです。「近隣への損害を補償する」という観点で考えても、火災保険への加入は必須といえます。

大型災害用:地震保険の加入も検討

火災保険の他にも建物や家財の損害、近隣への賠償を補償する保険として「地震保険」というものがあります。地震を起因とした建物の損壊や埋没、流出、火災、家財の破損によって発生した損害が保証されます。それ以外にも噴火に起因する損害、津波に起因する損害についても補償の対象です。

  • 地震起因
  • 噴火起因
  • 津波起因

日本は地震大国であり、いつ・どこで大地震が発生するかわかりません。沿岸部であれば地震によって津波被害が発生するリスクも高いです。加えて、日本国内には火山が無数にあり、とりわけ富士山が噴火すれば首都圏にも甚大な被害が出ると予測されています。

再建築不可物件は築年数が古いケースがほとんどです。現在の耐震基準で建てられた建物よりも耐震性が劣るため、倒壊や損傷をするリスクも非常に高いので、地震保険にも必ず加入しましょう。なお、地震保険は必ず火災保険とセットで加入する必要があります。地震保険に加入するためにも、火災保険の加入は必須です。

住んでいない家なのに保険までかけたくない方

保険ここまで火災保険の重要性についてご説明してきましたが、それでも「住んでいない家に保険をかけるのは納得がいかない」と思われている方もいらっしゃるかと思います。確かにその意見もごもっともです。無駄なコストを掛け続けるのは得策ではありません。そこで、ここからは火災保険料の支払いをなくす方法について考えてみましょう。

住んでいなくても賠償は必要?

たとえ住んでいなかったとしても、再建築不可物件で火災が発生した場合は、物件の所有者が近隣への補償を行わなければなりません。ただし、「失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)」では「民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス」という規定が定められており、賠償責任を負うのは重大な過失によって火災が発生した場合に限られます。

重大な過失とは、たとえばガスコンロで天ぷらを揚げていたままキッチンを離れたケースや、寝タバコの危険性を認識しているにも関わらずタバコを吸いながら寝てしまったケースなどが挙げられます。こうした重大な過失がなければ法律上は近隣への賠償は行わなくてもいいということになります。

とはいえ、知らぬ存ぜずというわけにもいきません。近隣との関係を良好に保つためには賠償を行うことが得策であり、そのためにも火災保険には加入しておくべきです

解決方法は早めに手放す

住んでいない再建築不可物件のために火災保険や地震保険のコストを負担したくないということであれば、手放してしまうのが一番です。これまでもご説明したとおり、再建築不可物件は火災や災害、事件・事故による損害を受けるリスクが非常に高いといえます。被害も甚大なものになる危険性が高く、損害賠償請求がなされるおそれもあります。

物件を手放してしまえば、火災保険や地震保険に加入して保険料を支払う必要はありません。また、損害や補償に関するリスクに怯える必要もなく、ストレスからも開放されます。

固定資産税の支払いも不要

固定資産税さらに、物件を手放すことで、税金の支払いからも開放されます。不動産の所有者は毎年固定資産税や都市計画税を納税しなければなりません。これまでもこうした税金を支払われてこられたかと思いますが、売却すれば当然のことながらこれらの納税義務はなくなります。

他にも火災保険・地震保険の保険料の支払いから開放される、物件を売却することで利益が得られるなど、さまざまなメリットが得られます。住んでいない再建築不可にコストをかけたくないということであれば、売却も検討してみることをおすすめします。

再建築不可物件の高額売却をしたい方

とはいえ、再建築不可物件は資産価値が低いとみなされるため、売却は簡単なことではありません。すでに売却に向けて動かれている方ならご存知かもしれませんが、二束三文にしかならない、なかなか買い手が見つからないというケースがほとんどです。不動産会社から門前払いをされるといったこともよくあります。

そこで、再建築不可物件を売却するのであれば、物件買取業者に依頼しましょう。買い手は業者になるので、スムーズに売却することが可能です。特に再建築不可物件に特化した買取業者であれば、高値での売却も期待できます。

住んでいない再建築不可物件の買取なら、訳あり物件買取センターにお任せください。創業以来30年以上、再建築不可物件を含めた訳あり物件に特化して取引をしており、物件活用のノウハウと販売網が充実しているため、好条件での買取が可能ですリフォームや修繕も不要。そのままお譲りください。最短で売買契約が成立したその日に代金のお支払いが可能です。

お問い合わせはお電話もしくはお問い合わせフォームよりお願いします。「住んでいない再建築不可物件に保険料や税金などの費用をかけたくない」「再建築不可物件が売れなくて困っている」という方は、ぜひご相談ください。

監修者

宮野 啓一

株式会社ティー・エム・プランニング 代表取締役

国内 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:150件
国内 訳あり物件売買取引件数:1150件
海外 不動産トラブルの訴訟・裁判解決件数:30件

※宮野個人の実績件数

宮野啓一

経歴

1964年、東京(六本木)生まれ。叔父・叔母がヨーロッパで多くの受賞歴を持つ一級建築士で、幼少期より不動産や建築が身近なものとして育つ。
日本大学卒業後、カリフォルニア州立大学アーバイン校(UCI)に入学。帰国後は大手ビルオーナー会社に就職し、不動産売買を行う。
平成3年、不動産業者免許を取得し、株式会社ティー・エム・プランニングを設立。同時期より第二東京弁護士会の (故)田宮 甫先生に師事し20年以上に渡り民法・民事執行法を学ぶ。
現在まで30年以上、「事件もの」「訴訟絡み」のいわゆる「訳あり物件」のトラブル解決・売買の実績を積む。
またバブル崩壊後の不良債権処理に伴う不動産トラブルについて、国内・海外大手企業のアドバイザーも兼務し数多くの事案を解決。
日本だけでなくアメリカや中国の訳あり物件のトラブル解決・売買にも実績があり、国内・海外の不動産トラブル解決に精通。米国には不動産投資会社を持ち、ハワイ(ワイキキ・アラモアナエリア)・ロサンゼルス(ハリウッド・ビバリーヒルズ・サンタモニカエリア)を中心に事業を行う。

対象エリア東京都・神奈川県

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